赤坂『アロマエイト』芦崎なのさん
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こうしてまた体験記を書くことができる、否書こうと思える人に出会えたことは僕にとってはほとんど福音と言える出来事だ。ほとんどブロガー引退状態にあり、もう書くこともないかも知れないと思っていたメンエスの体験ブログをこうして書いているという事実それ自体が芦崎さんの魅力や実力を物語っていると言わせて欲しい。

メンエスを風俗の亜流などではない新しいリラクゼーションマッサージの一形態であると強弁してみたところでそれをストレートに体現できる人がいなければ、僕がこれまで再三再四述べてきた理想的な施術の在り方だとかメンエスのありうるべき未来像など張子の虎でしかない。実際、施術の上手いセラピストも一定数はいるものの、それ以上にマッサージの本質とはかけ離れたところで勝負している人がメンエスには多いし、それを支持しているユーザーもまた多いというのが偽らざる真実である。

だから、そんな現実を前にしたとき、メンエスのマッサージの良さを広めたいと思う私のような人間は、ブロガーをやるよりも講師をやる方が良いなというのがある意味最近までの結論だった。だが、芦崎さんはそんな僕に「あなたがまるで自分の発見の如く説いてまわっているメンエスのマッサージの良さというのを私はもう知っていますよ。」と言わんばかりの施術を静かにさりげなく披露してくれたのである。


ルームに入ってからすぐに「はじめまして、芦崎なのです。今日はよろしくお願いします。」と言ってくれた丁寧な様子から最近よく見かけるやたらとお水感の強い嬢とは全く違うなとホッとしたことを覚えているが、最初のハンドマッサージを受けた時点からその意外な本格的指圧に少し面食らい、オイル塗布してからの脚へのトリートメントを受ける段にはもうすっかり感心しきって「上手い!」「良い!良い!」と連呼していた。

ついつい新人さんには「ああでもない、こうでもない」と身振り手振りでミニ講習状態となりかねないのが常態の厄介なメンエスユーザーである僕が身じろぎもせずにというよりはすっかり全身を弛緩させて、このお初にお目にかかった静かなる実力者に身を任せていられることは実に驚きであると言って良かった。それほど楽な体勢でもないうつ伏せの状態のまま、少しも起き上がろうという気が起きず、ずっとこのまま続けて欲しいと思わせるタッチの妙。

それはそれは幸せな感覚であった。

小柄な体格や大人しめなルックスの印象からするとそれほど包み込むようなタッチを期待できそうもないのに、実際は女性としてはかなり大きくしっかりとした手をしていて、その手をフルに活用した触り方がほとんど誰に教わるともなく自然にできているのである。葦崎さんが繰り出すしなやかで滑らかなそのタッチからは、彼女がいまこの瞬間の施術にちゃんと愛着を持って取り組んでいるということがどんな「頑張ります」という素振りよりも雄弁に伝わってくる。

だから、僕が思わず「メンエス好きでしょう?」と漏らすと、彼女は驚いたようにだが、少し嬉しそうに「わかりますか?そういうのわかるんですか?」と逆に質問されてしまった。

「わかるさ。手からいやでも伝わってくるよ」と返すと、彼女は「そっか」と実に安心したように微笑んでくれた。

それからというものは自分の施術により確信を得たのか、ますます彼女の触り方は繊細かつ伸び伸びとしたものになり、一応僕が口頭でそれなりにアドバイスはしたものの、そんなことはほとんど関係ないくらい見事な施術展開を披露してくれた。いつもの調子で、端から端までとか、隅々まで覆うようにとか、ちゃんと体勢の必然性を考えながらそれに合わせてとか、細かい改善点を提案をする訳だが、そのどれもほとんどただ言葉でリードするだけでできてしまうセンスにはただただ驚くばかりである。要するにちゃんとマッサージをするとき受けるときに、その気持ち良さのポイントを知っていてそれを実践できるだけの基礎があるからこそ、この到達点にあるのだと思う。触れ方、タッチの感覚というのはそれだけ重要であり、またあらゆる施術の根幹を成す技術なのだということを改めて痛感させられる思いだ。そして、このようにして掴んだ感覚というものが、タッチすなわち手の密着の延長に位置するところの身体全体を使った密着にも生かされるのは言うまでもない。

一見すると、スレンダーというよりは華奢で、本人曰く「身体硬いんです」というようにそれほど柔軟な身体の使い方ができる感じではなかったものの、「腕をもっと使って」だとか、「お腹を付けて、身体は両脚でバランスを取って、お尻に自分の体重を載せないようにね」というようなアドバイスをすると、徐々にコツを掴み、しばらくするとすっかり密着の仕方も十分上手といえるレベルになってしまった。その清潔感溢れる滑らかで美しい素肌の心地良さは文句無しだし、細身ながらメリハリのある見事なプロポーションは密着に必要十分な肉感を提供している。だが、それもこれも触れることに対する感覚の鋭さがゆえの身のこなしであり、受けていて少しも骨張った感じや引っかかってスムーズに流れないというような印象を受けることがないのはやはり驚きであった。

このように、メンエスのマッサージは手以外も大いに活用する訳だが、手以外の部分をいかに扱うかも手をどう扱えるかにかかっていることを彼女の施術を受けることで再認識することができた。


あまりに感心した僕が「これなら前店でも相当売れていたでしょ?」と言うと、彼女からは「私、出勤が少なかったから出勤したら毎回リピートしてくれる同じお客さんばっかりだったので、あんまり色んな人を担当してないんですよね」という言葉が返ってきた。

この事実が意味するのは、彼女が同じ人を何度も飽きずに通わせるだけの魅力を持っていたということである。

そこでは、過激で刹那的な刺激とは別次元の、彼女の内面的な魅力や普遍的なタッチの技術に由来する、相手の身体と心を真に癒してくれる時間が流れていたことは間違いない。


夜職のギラギラとした派手さとはかけ離れた、ナチュラルな可愛らしさや女の子らしさが魅力的な芦崎さんが、舌を巻くほど見事な密着マッサージをしてくれるというギャップにはメンエスが本来持っていた美質が確かに存在しているように思う。真のメンエス好きには是非体験して貰いたいセラピストさんである。