門前仲町・茅場町・木場・水天宮『Spa Aroma Ocean』姫乃すずさん
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今回の出会いは、Twitterで見つけた気になるセラピストさんが所属している店舗にもしその子が空いてたら良いかなぁくらいの軽い気持ちで電話してみたのが始まりだ。

しかし、どうも話し中のようで上手く繋がらない。
ただ、その日は予定の行動というよりは勢いでかけたところがあったので、「まぁ、また別の機会か」と思って掛け直すことはせず、早々に撤退することにした。
だが、この日、お店からすぐさま折り返しの電話があったのだ。
しかも、大変爽やかな男性の声で「先程お電話頂いたようですが、繋がらなくて失礼しました。こちらはその折り返しの電話でございます。」というではないか。
メンエスの受付はハッキリ言ってあんまり感じが良くない店が多いので、この丁寧な物言いと快活な雰囲気に、「おお、ちゃんとしてる。この店、良いかも?」とすっかり気を良くして、
もう半分くらいは訪問を諦めていたくせにまたその気になってしまった。
だが、残念なことに
肝心のお目当てのセラピストさんは空いていない。

本来なら、「じゃあ、また別日かな」と電話を切るところだが、ここでもこの受付さんによる案内が、空きのセラピストさんにもこちらにも配慮した実に親切で品のあるものだったので、彼の言葉を信じてとにかく受けてみようという気になれたのである。

「話を聴く限りどちらでも本当に良さそうだから任せるよ」と言うと、「ご新規ですし、お好きな方をお選びになっても今回は指名料は結構です」との反応。たった1000円のことではあるが、この1000円を何が何でも取ってやろうという店が多い中、こういうお客の立場に立った対応というのは素直に嬉しいものだ。だから、ますます気を良くした僕は、入ったばかりだが早くも評判が良いという、彼曰く「広瀬すず似」だというセラピスト、姫乃すずさんを意気揚々と予約することに決めた。


場所は多少マイナーな印象は拭えない茅場町から徒歩2、3分のところにある、オシャレなエントランスやきっちりしたセキュリティが印象的な落ち着いた雰囲気の高級マンション。それほど駅から近い感じもしないし、初めてだと意外にわかりにくいのだが、こちらも先程の受付さんの親切な案内で何とか無事辿り着くことが出来た。
かくして、いよいよ「広瀬すずなんぼのもんじゃい」のお時間がやってくる訳なので、ある程度僕の方では期待値は上げ過ぎないようにと自分に言い聞かせてインターフォンを鳴らす。

すると、「あぁ、広瀬すずだ!」とまではいかないものの十分に可愛いらしい、そして、とてもしっかりとした、感じの良い女の子が出迎えてくれた。こういう美人女優似だというキャッチはご本尊が有名で人気があればあるほど、比較の目が厳しくなるのでリスキーだなぁと思うのだが、姫乃さんの場合は部屋に通されてから改めてそのお顔を拝見してみると、各パーツが確かにバランス良く似ている。口許の雰囲気などはかなりそのままと言って良い。例の受付さんが煽り文句でそう言っているのではなく、本心からそう思って言っているのだろうなと納得させられる水準であり、広瀬すずの面影を十分感じさせる。もちろん10代から芸能界で活躍してきた、若いわりに相当な貫禄と洗練の極にある広瀬すずと比べると、姫乃さんはもっとずっと素朴で荒削りな印象がある。
だが、その分、彼女は
これから磨けば何倍、何十倍にも綺麗に、より魅力的になるのだろうなぁという今後への期待を抱かせてくれる感じがある。

近頃、幾多のナイトワークですれっからしになっている感じのセラピストに会うことも少なくないので、メンエスのような男性相手の際どい仕事になりかねない仕事の経験がなく、本当の意味で予断のない彼女のようなセラピストは極めて貴重だし、新鮮でもある。聴けば以前は旅館の中居をやっていたとのことなので、彼女の最初からとっても丁寧で、言葉遣いもしっかりとした、おもてなし精神に貫かれた接客はそのときに身についたものなのかもしれない。メンエス嬢っぽい流暢で魅惑的なリードがある訳でも、こなれたアテンドがあるわけでもないが、初対面の人間ともひとりひとりしっかり向き合おうとする真摯な姿勢からは彼女の人柄の良さが真っ直ぐに伝わってくる。そんな感じだから、こちらの話すことにもよく耳を傾けて反応が良く、とにかくよく笑ってくれたのが僕にとっては何よりも印象的だ。その笑い声は鼻にかかったかなり特徴的なものなので、いわゆる可愛い女の子、いわゆる美人さんには不似合いなその無防備さをついつい揶揄うようなことを言ってしまったのは申し訳なかったが、彼女にはそれでも少しも気を悪くする感じがなく、実に屈託なく受け答えしてくれるのが何とも微笑ましい。

あまり自信のないタイプの人を相手にすると低くない確率で舌禍事件を起こしかねない愚かな僕であるが、姫乃さんはこちらの真意を決して曲解することなく、真正面から受け止めてくれるので、こちらも身構えることなく、身体と心に纏った鎧をはずして素の自分に戻れたように思う。

そんな訳で、彼女とは一緒に過ごす時間が長くなれば長くなるほど、話せば話すほど、お互いに気を許して本音を話せる感じが嬉しく、施術時間が終わる頃にはその作られたあざとさとは無縁の、真に人柄の良さを感じさせるピュアな愛らしさにすっかり魅了されていた。


こうなると施術がどうのというのはもうあまりどうでも良くなってしまうすれっからしのメンエスブロガーである私だが、こちらの方でもその愛嬌以上に際立つ彼女の生真面目な性格が存分に生かされ、びっくりするほど充実した内容の施術を味わうことができた。

まだ、講習を含めても入って4日目、僕でせいぜい10人目くらいだという筈なのに、これまで担当したお客様からのアドバイスや講習で学んだことを絶えず吸収し続けているという感じで、各施術の完成度にバラつきはあるものの時折、ビックリするほどバリエーション豊かなマッサージをしてくれる。話の流れから請われて、僕自身も施術に関する色々なアドバイスをさせて貰ったが、理解が早く、次々に新しいアイデアを自分のモノにして実践していく彼女の成長ぶりは観ていてワクワクするほどの楽しさだった。

まだまだ、マッサージの基本的なタッチを決める手指の使い方や圧を決める体重移動には課題が残るものの、ドレナージュ的に撫で流しながら、指を入れていくテクニックは施術時間内でどんどん上手くなり、すっかりコツを掴んでいたように思う。

姫乃さんの場合はとにかく本気でマッサージが上手くなりたいという軸がしっかりしているので、それに役立つなら何でもやってやろうという柔軟で前向きな姿勢にはブレがなく、そのやる気はちょっと感動的なくらいだ。お金を貰っている以上、それに見合ったちゃんとした仕事をしたい、目の前にいるお客さんを喜ばせたいという素直な想いがその一挙手一投足から真っ直ぐこちらに伝わってくる。

「気持ち良い」と僕が声を上げると、「私もコレやっていて気持ち良い」と彼女自身も本当に気持ち良さそうに施術してくれるのがとっても嬉しい。

振り返って思い出せば思い出すほど、重畳的にふたりで過ごした時間の楽しさや満足感が込み上げてくる。こういう出会いがあるからメンエス通いはやめられない。


しかし、僕らがいるのは混迷を深めるメンエス業界。

この短い期間にも残念なことにやはりというか、実に健全を掲げてやっているこの店にも過剰要求をする客はやって来たようだ。

だが、それでも彼女はそんなお客をもただ切り捨てることはせず、丁寧に店のコンセプトと自分のスタンスを伝えた上で、最後まで務めたようである。私からしたらそんなに頑張らなくて良いのにと思うが、戴いたお金の重みをわかっているからこそギリギリまで自分のできるサービスを精一杯やって、最後には相手の望みには応えられないとハッキリと伝えて、謝ったのだという。悪いのは彼女ではなく、お客の方なのに。しかし、いずれにせよ、邪な思惑が叶えられなくても来て良かったと思わせるだけの施術をするためには施術の質を高めるしかない。それは決して容易な道ではないが、姫乃さんからは迷いなくそうした正統的な道を歩もうという決意が感じられる。彼女も多くのセラピストと同じように、最初からこの仕事を積極的にやりたいという気持ちで始めたのではないだろう。だが、やり始めて、実際に試行錯誤を繰り返す中でこの仕事の魅力を理解し、その施術をより良いものにするために絶えず努力を続けていこうという姿勢は実に清々しく、心の底から応援したい気持ちにさせられる。

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過剰化やダークな印象が軽減するどころか、増している感さえあるメンエス業界という荒れ野に「まだ、こんな子がいるものなのか!」という軽い衝撃を与えてくれた姫乃さんとの出逢い。その曇りのない目で明るい未来を描こうとする彼女を見ていたら、メンエス業界なんてと半ば諦めの気持ちでいた自分にもまだやれることがあるのではとささやかだが確かな勇気が湧いてきた。


社会的には決して良い仕事だと思われていないメンエスのセラピストという仕事。

親や友人など、親しい人であればあるほどなかなかやっているとは明かせないというのが現状だろう。それは彼女も変わらない。

でも、「やるからにはこんなスゴいマッサージや施術ができるんだと、いつかはちゃんと胸を張りたいって気持ちはあるんですよ」と姫乃さん。

「本当にそうだよねぇ」と頷きながら、胸が詰まった。


姫乃すずさんは、メンエスを大切に思うユーザーにとって、どこまでも大切にしたくなるような純真さを胸に秘めた大切な妹のような存在となるセラピストだと思う。


☆編集後記☆
彼女の生真面目なまでの仕事への誠実な姿勢、裏表のない純真さは本物である。
高校卒業してからすぐに働いていたという旅館の中居としてのキャリアのせいか、彼女に染み付いたおもてなしの精神は驚くほどだ。メンエスで彼女ほど自然にきちんとした言葉遣い、気遣い、そしてお客様への敬意を示し続けられるセラピストはそうそういない。なぜなら、最初はそうしたごく真っ当な価値観を持っていた女性たちでさえも、徐々に徐々にその高額な見返りと悪質なユーザーという実にアンバランスな状態、何よりも欲と金がモノを言ううらびれたナイトワークに堕っしがちな業界の風潮に流されて、メンエス本来の良さを見失ってしまうからだ。しっかりとしたマッサージが生み出す確かな身体的満足感、人と人がしっかりと向き合うことから生まれる自然と笑みが溢れてしまうような精神的な充足感といった、メンエスが持つ極めて基本的でありながら決してブレることのない普遍的価値に目を向けることをついつい怠ってしまうからだ。
あるいは、そうした理想を掲げていたセラピストもそうした真っ当な在り方が通用しない醜い現実に心折れて、安易に過剰に手を染めたり、失意のうちに辞めてしまうことも少なくない。
でも、そんなことで本当に良いのだろうか?
彼女のような普通のしっかりとした芯を持った、それでいて心優しく、誠実な姿勢で癒しを提供しようという女性こそが生き生きと働ける業界であるべきではないだろうか?
この業界には、お金のために仕方なく始めたとしてもやってみたらこんなに素晴らしい仕事だったのかと辞められなくなってしまったという女性も少なからず存在する。
姫乃さんにもそうしてついつい辞められなくなったと思って貰えるくらい良いセラピスト人生を歩んで貰えたらと心から祈らずにはいられない。